2019年10月20日日曜日
いろんな形の思いやり
久しぶりにHampsted Heathをお散歩。気持ちのいい秋晴れ(でもすでに結構寒い)の週末となりました。
今回は気になる投稿から、ふと薬剤師として働いていた時に考えていたことを思い出して、書いています。
私が日本で薬剤師として働いてた病院は、戦後、医療のサービスがままならない時代に、地域の人の寄付から建設された、という病院。
私が初めて担当したのは、泌尿器科と整形外科が一緒になった病棟でした。
主に手術に来られる患者さんが多い病棟でしたが、泌尿器科では、尿路結石などの患者さんの他、前立腺癌、膀胱癌、腎臓がんなどの患者さんも入院されていました。
がんの患者さんは、薬との相互作用が問題なければ、患者さんはどんなサプリメントも医師はオッケーを出していました。そんな先生たちの姿勢から、「患者さんの意思を尊重すること」の大切さを学びました。
こんなこともありました。。。
外科病棟で乳がんの患者さんに、医師は新薬を勧めていました。しかしその薬は、当時保険適応外のため、高い薬代を自費で支払わなければならなかったこと。
薬剤師側は、経験の少ない薬を採用することに対して、副作用など未知の危険性を回避するため、他の経験のある薬を考慮できないか、と医師に話し、しかし医師側は「少しでも可能性のがあるならやるべきではないか」という患者さんを思う気持ちを示しました。お互い違う形で患者さんを思う・・・興味深いな、と思いました。
結局、患者さんは、その高い薬をローンを組んで自費で治療を受けることに同意しました。
もう患者さんが決めたなら、少しの可能性でも効くことを望むのみ。
このケースでは薬が見事に効いて、患者さんは退院されていきました。
私が働いていたこの病院では、他の医師たちもとても優しくて、こんな環境で働くことができたのは、本当にラッキーだったんだな、と思っています。病院の成り立ちからも、地域の人たちが主役であるというのが背景にあったのも理由かな・・・。
ホメオパシー講座をしていると「患者さんの意思を尊重してくれる病院なんてあるんですか?」なんて質問が飛んできたりして、正直驚いています。日本を離れて10年以上になるけれど、今の日本の状況はそんな風になっているのだろうか・・・とふと考えます。
アメリカでは、入院した後、抗がん剤治療をやっぱり中止したいと退院しようとすると、警官やガードマンが追いかけてくるところもあるそうです・・・。自分の健康や命は自分で選択できるのが当たり前と考えていた私は、このニュースを見てショックでしたし、またゾッとしました。
冒頭にも書いた投稿なのですが・・・、医師ってそこまで患者さんをコントロールしていいのかな?って考えたりもします。外国にならって、新しいルールや考え方を提案するのは、新しい風を吹き込むのにいい部分もあるけれど、場合によっては、日本の制度の方がいい分野もあると思います。導入する際には、患者さんの意思を尊重できるゆとりも作っておかないと、時にはとんでもないことになってしまうこともあるのでは?
私は手塚治虫先生の「ブラックジャック」が大好きで、昔よく読んでいました。人の命というとても大きなものを扱う医師として、その命を前に感じる横柄さと、時には何もできない無力さの狭間で葛藤する姿。。。。読むたびにいろんなことを考えさせられたなーと・・・。
私のところに来るクライアントさんも、すでにいろんな薬を飲んでいたり、手術を避けたいなどという方々がやってくる・・・。どんなことをすることが最善なのか?それはクライアントさん本人が決めたことを尊重するのが一番で、それをサポートするのが私たちの仕事。
ただ、ホメオパスとして医師の治療を妨げるようなことはしてはならない、というのは本当に基本的なルール。私もクライアントさんにはそこのところはきちんと説明しています。基本ルールを守ることは最前提の上で、きちんと話し合って、その中でできることと、本人の意思を尊重するものを提供するように努めています。
投稿を見ていたら、ふと昔のことを思い出し、また改めて気をつけていこう、と自分に戒めて・・・。
それにしても、今後の日本、これからどうなっていくんだろう・・・?
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