2018年5月2日水曜日

イギリスの薬局で働く 続編その2




イギリスの調剤薬局は、「日本と比べてシステムが古い」と言うことは以前にもお話しましたが、いつも「どうにかならないかなー」と思っていたのが、調剤が終わって渡す準備ができた番号を表示するスクリーン。

日本みたいにすでにできている番号が、全て表示されるようなデジタルなスクリーンではありません。昔「クイズダービー」と言う番組がありましたが、回答者の「倍率」が表示されていたような、アナログなスクリーンでした。
(すみません、なかなかいい例が思いつきませんでした)

昔ながらの1つの番号しか表示できないスクリーン。
調剤が終わった番号を順番に表示していくのですが、見落とした人がよく「私の番号、表示されなかったわよ!!」と怒鳴り込んできました。
順番にできないときも、番号表示は順番にして、後戻りはしないように(混乱するので)、と言われているので、番号を表示して、調剤が終わっていなかったときには、また怒鳴られます(後の番号が準備出来ていて、前の番号が出来ていないときに押すため)。
NHSも予算が限られているので、病院も薬局も、悲しいことに、こういうところは後回しの様子。

私が働き始めてから、そのときにいたカウンターのスタッフが、トレーニングでどんどん調剤室の仕事を始めていくので、新しいカウンタースタッフが入ってきました。
しかし、みんな、この患者さんに怒鳴られるのがイヤで辞めて行きました。
確かに、大学で一生懸命勉強して、卒業したのに、ここで患者さんに毎日怒鳴られたら、やっぱり仕事がいやになってくる気持ちは良くわかります。

あるとき、女性が「私の薬はいつできるの?」と聞かれ、
「さっきできたところですよ。カウンターでお待ちください」
と言ったら、
「表示しなかったじゃない!Slut!
Slutは英和辞典をみると「あばずれ」と言う意味になっていました)
と言われ、しょぼんとしていると、調剤室から
「ひろこー、大丈夫ー?」
と声がかかり、
「今、患者さんにSlutって言われたー」
って、言ったら、一瞬調剤室が「シーン」と。。。

マネージャーから、
Hiroko、ちょっと来なさい」
と言われたので、行ってみると、
「そういうことがあったら、すぐに連絡しなさい。患者さんがスタッフに暴言を吐いた場合、病院と話し合って、患者に警告、場合によっては、病院に出入りできないようにする処分もすることがあるのよ」
とのこと。
スタッフを守るためにそんな制度もあるんだねー、と思いました。

いろんなことがありましたが、ときどきいい患者さんもいて、私が患者さんから怒鳴られているのを見て、
「本当に申し訳なく思うわー、大丈夫?」
なんて声をかけてくれる患者さんも。

まぁー、毎日いろんなことがありました。
こんな経験をしてきて、私もイギリスで生活していくための「たくましさ」が、少しだけどできたのではないか、と思います。

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