2020年2月4日火曜日

罪悪感とインフルエンザ



前回のブログ「恐怖心とコロナウイルス」のところでビタミンCのお話をしましたが、今はこのキンカン(英語ではKumquatsと言うそうです)が手に入るので、ちょくちょく食べています。日本では生で食べたことなかったのですが、中が酸っぱくて、皮が甘いんですね。


本題に入りますが・・・

イギリスに来てから不思議に思ったことの一つ。

「なぜ日本ではあんなにインフルエンザが流行るのだろうか?」

と。もちろんかかる人もいますが、日本みたいに学級閉鎖とか、薬局や病院がごった返すほどの混雑はあまり見られません。

日系のクリニックに勤めていた時にこんなことがありました。

12月に日本人学校の先生が来院され、「インフルエンザ」と診断されました。「12月のインフルエンザは時期的に早いなー」と思ったので、印象に残っていました。
そして、その先生は熱が下がってすぐ次の日に学校に仕事に戻りました。それから数日後・・・先生のクラスの生徒さんたちが次々とやってきて「インフルエンザ」と診断されクリニックは急に忙しくなったのです。

インフルエンザは日本の「学校保険法」で、インフルエンザにかかった場合、
「発熱から5日間、または解熱してから3日間は学校に行ってはいけない」という決まりがあります。生徒さん同士で感染が拡大しないための対処法です。

日本では、特に会社で働いている場合などは、病欠を取るのは気が引けて、私も日本にいた頃は、「病気でも頑張らなくては!」みたいなところがあって、結局入院までしてしまったことがありました。
でも、それって周りで一緒に働く同僚たちには迷惑なことなんですね。出勤しても、100%で仕事ができないし、周りに病気を移してしまう可能性も高くなるし・・・。

「どんなに辛い時でも忍耐で乗り越える」というのが日本の美学的なところがありますが、そんな巨人の星のような昭和な考えは、この件に関しては捨てたほうがいいように思います。

イギリスでは、人はうがいもしないし、手洗いもあんまりしているようではないし、マスクをする人はテロリストと間違われるので、公共の場所でマスクしている人は見かけません。でも、インフルエンザが日本ほど蔓延している感じではないのです・・・。

それではなぜなの?と思うのですが、違うところは、病欠が日本と比べて取りやすい雰囲気も関連していると思います。ただ、人によっては最大限に利用して悪用する人もいるようですが、病欠を権利として取れるこの環境は私はいいな、と思っています。
イギリスでは「交通費も出ない」し、「住宅手当もない」し、お給料の中から全て負担するので厳しい面はありますが、でも、病気になったらきちんと治るまで休めるんですね(ただし、会社によっては7日以上連続で休むと医師の診断書が必要など制限はあるようです)。だから感染が拡散しないのだと思います。

日本は病気になって休むと、仕事のサポートも得にくく(仕事の内容にもよると思いますが)、罪悪感の度合いがイギリスと違う感じがします。こっちは休みが多かったらしかたがない、と腹をくくってできる範囲で仕事をする。薬局でも今まで、一番ひどかったのが、薬剤師と私ともう一人のホメオパスだけ、という状況もありました(普段、平日は薬剤師1人、ホメオパス6人で勤務しています)。それでも仕事はきちんと優先順位をつけて回すことができるんですね。

日本でも、会社側が、インフルエンザになったら学校保険法に定められた日数を気兼ねなく休んでも大丈夫な環境、雰囲気を作り上げることができたら、感染が拡大するのを防げるのかな、と思います。
それと同時に、食生活を見直し、適度な運動をして、ビタミンCをこまめにたくさん摂って・・・など、体の基礎をしっかりしておくことは、とーっても大事なこと。

日本はなんでも時間ぴったりで、サービスもとっても心細やかに行き届いていて、とても優しくて素敵な人たちがたくさん住んでいる素晴らしい国ですが、そんな状態を保つために、たくさんの人たちがストレスやプレッシャーを常に感じている国でもあります。

会社で働く人たちが、少しでも体が回復するまでお休みを取れるようになったら、この毎年大流行りのインフルエンザの状況も変わっていくのかな、と思います。


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