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2017年4月3日月曜日

イギリスの薬局で働く その7



イギリスの調剤処方箋の料金システムについて。

イギリスでは、窓口で支払う料金は、剤数ごとに決まります。
現在は1剤£8.40(2016年4月1日改正)。2剤、3剤と処方される場合はその倍数です。

但し、処方箋の裏には控除になる方の条件が書いてあります。
例えば
16歳以下、
16-18歳まででフルタイムの教育を受けている
特定の疾患にかかっている(日本と違って、がん、糖尿病などもこの対象になります。対象者は特定疾患控除のカードを持っているのでそれを窓口に提示してもらいます)。
生活保護の方
妊婦と出産後1年以内の女性

などなど、いろんな条件があり、生活保護、特定疾患の場合は条件がさらに細かく記されています。

控除の条件に当てはまらない場合で処方数が多い場合は、The Prepayment Prescription Certificateといって、毎月処方される場合だと格安になるカードがあります。3ヶ月のカードと(£29.10)12ヶ月のカード(£104.00)があるので、窓口でどの方法が一番患者さんにとって安いのかを計算して、どの方法が患者さんにとって安いかを教え、患者さんにどの方法にするか選択してもらいます。

また、処方箋に書いてある薬が、OTCとして買えるものも書いてあったりします。患者さんが支払いする場合、普通に買う場合と、処方箋で処方してもらう場合とどちらが安いかも計算して、普通に買う場合が安いときはそのまま店内から購入してもらいます(待ち時間を考えるとこの方が安くて患者さんにも有利であるため)。

処方箋を受け入れるにあたり、色々なルールがあります。

日本では健康保険証を受診時に必ず持参しますが、こちらでは自分がどの控除かわからない人もいるため、控除のカードすら持ってこない人もいます。

こんなこともありました。

救急を受診した男性。受診までかなり待たされた様子。
処方箋を持ってきて、一通りチェックを終えた後、「お支払いをお願いします」と言うと、「何で支払わなきゃいけないんだよ!お金なんてないよ!」と怒鳴り始めました。
大声を聞いた調剤室内の薬剤師とDispenserがすぐカウンターに飛んできて、私の両脇にピタッとついて、男性に「何があったのか詳しく聞かせて」と言っても、男性は怒鳴ってばかり。この二人も勢いに負けておらず、何を言われても物怖じしません。結局彼は失業していて、お金に困っていることがわかりました。そこで理由がわかっても薬剤師とDispenserは止まりません。
「申し訳ないけれど、それは彼女には関係ないことでしょ!Hirokoに謝りなさい!」
私は「もういいよー」と思っていたけれど、私の同僚たちのほうが今度は謝るまで引き下がりません。
最後には彼が謝ってくれて、ひと段落しました。

散々診察で待たされて、患者さんがイライラするのは日本の薬局でも一緒ですが、こちらの患者は周りの目など気にせず逆上します。ほぼ毎日このようなことがありますが、スタッフもこういう患者の対応について、トレーニングがなされているので、何かあったらすぐに調剤室や店内から飛んできます。一人で対応するより、複数のほうが患者も攻撃しにくくなるためだそうです。
カウンターの下に非常ボタンがあり、緊急時にすぐに呼べるようになっていますが、同僚が飛んでくるほうが早いので、働いている間、一度も押すことなく済みました。

昔はNHSでの調剤も無料だったようです。彼も制度が変わっているのを知らず、支払うことに抵抗があったようです。

料金システムについての詳細はこちらのリンクをご覧ください。

http://www.nhs.uk/NHSEngland/Healthcosts/Pages/Prescriptioncosts.aspx

これはMedicine Counter Assistantのテストにも出ていて、イギリスのNHSの処方箋のしくみについて詳しく理解することができました。


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